カテゴリ:Salary Cap( 18 )

キャップヒット演習10「パフォーマンスボーナス」

Performance Bonusすなわちパフォーマンスボーナス(以下PB)とは、いわゆる成績によって支払われる「出来高払い」のインセンティヴボーナスで、日本人が「インセンティヴ」という言葉を聞いたときの語感に最もしっくりくるインセンティヴボーナスだと思います。契約時に取り決めた成績や出場試合数、プレー数などによってボーナスが出ます。

ということで、パフォーマンスボーナスの場合、果たして契約した条件が「LTBEかNLTBEなのか」がポイントになります。その条件をクリアしそうなのか、クリアしなさそうなのか、そこが重要です。

【例題10】例題8でUFAとなったTEジェイ・リーマスマ選手が、新しい契約を求めて複数のチームを回ることになりました。寒いバッファローにホトホト嫌気が差したリーマスマ選手が2番目に訪問したのは、やはり気候の穏やかなフロリダのチーム、タンパベイ・バッカニアーズです。チャッキーことジョン・グルーデンHCは「リーマスマ君なら私の偽物ウエストコーストもこなせるよ。パスを捕れるヴェテランのTEが欲しくてね。ガンガン君にパスを投げるつもりだから、是非ウチに来てくれたまえ。君が去年32キャッチだなんて、信じられないなあ。正直なところ、ケン・ディルガー君よりも君と契約したいと思っているんだ」という口説き文句と一緒に、3年3ミリオン、サインボーナス0.6ミリオン、パフォーマンスボーナスを含めると最大で3年7ミリオンになる契約のオファーがありました。

<基本となる契約3年3ミリオンは>
2003年 BS0.6M 分割SB0.2M CapHit0.8M 実際に受け取る金額1.2M
2004年 BS0.8M 分割SB0.2M CapHit1.0M 実際に受け取る金額0.8M
2005年 BS1.0M 分割SB0.2M CapHit1.2M 実際に受け取る金額1.0M

<パフォーマンスボーナスの条件は>
2003年 PB1.0M 33キャッチ
2004年 PB1.0M 40キャッチ
2005年 PB2.0M 50キャッチ

やはり慎重居士のリーマスマ選手は、「今年受け取る額は、マイアミと同じで1.2ミリオン。でも、33キャッチをクリアすれば1ミリオンが入ってくる。でも、せこいチャッキーのことだから、30キャッチが近くなったらボクを使わなくなるかも。マイアミの場合、33キャッチ行かなくても来年も使えることをアピールできれば0.5ミリオンのロスターボーナスが出るし、ベースサラリーも0.3ミリオン高い。マイアミのほうが無難か? でも毎年条件をクリアすれば、総額で7ミリオンになるのは魅力的だな。サインボーナスだって0.6ミリオンあってマイアミより0.3ミリオン多いし、キャンプ中に解雇されたときにはコッチのほうが得だな・・・」と考えました。リーマスマ選手はやはり決めることができず、いったん返事を保留にして他のチームも回ることにしたのでした。

仮にリーマスマ選手がタンパベイに加入した場合の、パフォーマンスボーナス込みのキャップヒットを計算してみますと、

①2003年
2002年に32キャッチしかしていませんので、33キャッチ条件の「2003年のPB」はNLTBEになり、キャップヒットしません。よって、基本契約の0.8ミリオンだけとなります。

②2004年 2003年に32キャッチ以下のとき
「2003年のPB」は支払われなかったので、補正の必要はありません。また、「2004年のPB」もNLTBEになりますので、キャップヒットは基本契約のみの1.0ミリオンとなります。

③2004年 2003年に33~39キャッチのとき
NLTBEだった「2003年のPB」が支払われたので、補正の必要があります。つまり、2004年のチームサラリーから1ミリオンがマイナスされます。一方、「2004年のPB」はNLTBEになりますので、こちらは2004年のチームサラリーに影響しません。よって、実質的なキャップヒットは「基本契約+2003年のPB発生ぶん」の2.0ミリオンになります。

④2004年 2003年に40キャッチ以上のとき
NLTBEだった「2003年のPB」が支払われたので、補正の必要があります。つまり、2004年のチームサラリーから1ミリオンがマイナスされます。しかも、「2004年のPB」はLTBEになりますので、こちらも2004年のチームサラリーに影響します。よって、実質的なキャップヒットは「基本契約+2004年のPB(LTBE)+2003年のPB(NLTBE)発生ぶん」の3.0ミリオンになります。

ということで、④番の「ダブルパンチ」パターンがキャップヒット的には一番厳しい現象で、2005年のバッファロー・ビルズのRBウイリス・マゲイヒーがその好例になります。マゲイヒーはドラフト後にパフォーマンスボーナスを含んだ契約(便宜的に毎年1000ヤードラン)を結んで、2003年を全休しました(当然記録は0ヤード)。ところが、2004年に1000ヤードを突破してパフォーマンスボーナスの条件をクリアしてしまいます。となると、NLTBEだったのに支払われた「2004年のPB」と、LTBEになってしまった「2005年のPB」が一挙にキャップヒットし、バッファロー・ビルズの家計は途端に苦しくなってしまったのです。おかげさまでLTジョナス・ジェニングスとDTパット・ウイリアムスという両ラインの中核をみすみすUFAで失うことになりました。

パフォーマンスボーナスは「ダブルパンチが怖い」と覚えておけば大丈夫だと思います。

また、LTBEなのかNLTBEなのかは、究極的には前年度の結果が出てからでないと分からないことになります。リーマスマのケースの場合、ともかく2003年をプレーしてくれないと、2004年のキャップヒットは不明のまま、ということになります。まして2005年のキャップヒットは、話題にしても余り意味がない、ということになりそうです。
[PR]
by bufbills | 2005-06-15 02:58 | Salary Cap | Comments(0)

キャップヒット演習9「ロスターボーナス」

Roster Bonusすなわちロスターボーナス(以下RB)とは、ある日付を設定して、その当日にチームに残っていればボーナスを支払う、というインセンティヴボーナスです。説明不要かと思いますが、ロスターRosterとはすなわち選手リストのことですから、「ロスターに残る=チームの一員である」ことになります。

この「ある日付」で多いのが、まず「3月1日」です。これは新しいシーズンが始まりを意味する「UFAとトレードの解禁日」のことです。契約を結んだ選手が、新シーズンもチームにとって必要だとフロントが判断すれば、ロスターボーナスを払って新シーズンも頑張って貰うことになります。ところが、前年度の働きが悪く、新シーズンの活躍が期待できないときは、ロスターボーナスを払うのが惜しいという理由だけで、選手を解雇することがあります(もしくはリストラクチャーですね)。

次に多いのは「9月1日」ころでしょうか。これは「夏のトレーニングキャンプを潜り抜けて、最終ロスターに残る」ことを意味します。競争相手に勝ってチームに残ったらご褒美をあげる、という意味合いです。

ところで、ロスターボーナスは「保証されているか否か」がポイントになります。大抵の場合、ロスターボーナスは保証されていません。保証されていないロスターボーナスは、発生した場合には全額その年のチームサラリーにキャップヒットしますから、高額の場合にはフロントにとっては重大な決断となります。保証されていないロスターボーナスは分割キャップヒットが可能になるので、ほとんど「第2のサインボーナス」という位置づけで問題ないことになります。

【例題9】例題8でUFAとなったTEジェイ・リーマスマ選手が、新しい契約を求めて複数のチームを回ることになりました。最初に訪問したのは、同じディヴィジョンのライヴァル、マイアミ・ドルフィンズです。デイヴ・ウォンステッドHCは「リーマスマ君、我々は君のプアーなランブロックには目をつぶるが、レッドゾーンでのレシーヴィング能力を高く評価している。是非ウチのチームに加入して、バッファロー相手に是非リヴェンジを果たしてくれたまえ」という口説き文句と一緒に、3年4.5ミリオン、そのうちサインボーナス0.3ミリオン、他に2004年3月1日付けの無保証ロスターボーナスが0.5ミリオンという、最大で3年5ミリオンという契約のオファーがありました。

2003年 BS0.9M 分割SB0.1M            CapHit1.0M 実際に受け取る金額1.2M
2004年 BS1.1M 分割SB0.1M 全額RB0.5M  CapHit1.7M 実際に受け取る金額1.6M
2005年 BS2.2M 分割SB0.1M            CapHit2.3M 実際に受け取る金額2.2M

慎重居士のリーマスマ選手は「来年の3月1日のロスターボーナス、果たして貰えるんだろうか? 今年活躍しないと用無しだろうし、だいたいランディ・マクマイケルがエースTEだろうから、出番が少ないだろうし。そもそも今年貰える金額って、ドアホーが提示したペイカットの1ミリオンと大して変わらない1.2ミリオンだし、サインボーナスは0.3ミリオンしかないし微妙だな」と考え、返事を保留にして次のチームを回ることにしました。

仮にリーマスマ選手がマイアミに加入し、解雇されたときのデッドマネーを計算してみますと、

①2003年3月1日~2003年5月31日
2003年に0.3ミリオン

②2003年6月1日~2004年2月28日
2003年に0.1ミリオン
2004年に0.2ミリオン

③2004年3月1日~2004年5月31日
2004年に0.7ミリオン

④2004年6月1日~
2004年に0.6ミリオン
2005年に0.1ミリオン

となります。これを見れば明らかなことですが、ロスターボーナスを払ってしまったときのデッドマネーが当然大きくなっています。
[PR]
by bufbills | 2005-06-15 02:57 | Salary Cap | Comments(0)

Incentive Bonus のポイント2=LTBEとNLTBE

インセンティヴボーナスの2つ目のポイントは、インセンティヴボーナスには「ボーナスを獲得しそうなlikely to be earned」(以下、LTBEと略記)と「ボーナスを獲得しなさそうなnot likely to be earned 」(以下、NLTBEと略記)の違いがあることです。前年度の成績と同等以下ならLTBEとみなされ、前年度の成績よりも上ならばNLTBEとみなされます。

例えば、前年に7インターセプトを記録した選手がいるとします。仮に「7インターセプトしたら50万ドル」という契約を結んだとすれば、これは「クリア可能っぽいLTBE」とみなされて50万ドルがサラリーキャップに加算されてしまいます。逆に、条件を前年より上の「8インターセプト以上」に設定しておけば、「クリア不可能っぽいNLTBE」と見なされ、サラリーキャップには計上されません。これは出場試合数やプレー数に応じたボーナスの場合も同様です。

ちなみに、ルーキーに関しては、インセンティヴボーナスの比較対象となる「前年度の成績」がありません。よって、CBAの中にドラフト指名順位に応じた取り決めがありますが、取り敢えず割愛します。また、ロスターボーナスやワークアウトボーナスは簡単に達成できますから、当然LTBEと見なされます。

ということで、1人の選手のキャップヒットの公式は、

「BS+SB契約年数等分割額+インセンティヴボーナスのLTBE該当額」

となります。

ところで、重要なことですが、LTBEとNLTBEには後日談があります。

LTBEはキャップヒット的には「前払い」です。たぶん選手が「クリアするだろう」ということをアテにしています。「去年も1000ヤード突破したし、WRテレル・オウエンスなら2005年も1000ヤードは突破するだろう」と思って、「1000ヤードを越えたら1ミリオン」というLTBEのインセンティヴボーナスを設定するとします。ところが、オウエンスがホールドアウトしてしまい。途中からチームに復帰したものの800ヤードに終わる、というケースが考えられます。となると、このインセンティヴボーナスは「実際には支払われなかったのに、キャップヒットしていた」ことになります。NFLのCBAでは、これは不公平だと考えます。どのように補填するかというと、支払うはずだったのに支払われなかった1ミリオンを、翌年のチームサラリーに加えるのです。

一方、NLTBEはキャップヒット的には「後払い」です。「RBジェローム・ベティスは、去年は500ヤードしか走らなかった。だから、今年1000ヤード走ることなんてたぶんないだろう」と思って、「1000ヤードを越えたら2ミリオン」というNLTBEのインセンティヴボーナスを設定するとします。ところが、デユース・ステイリーがぶっ壊れてしまい、出番の多くなったベティスが1000ヤード走ってしまった、というケースが考えられます。となると、このインセンティヴボーナスは「実際には支払ったのに、キャップヒットしていなかった」ことになります。NFLのCBAでは、これは不公平だと考えます。ということで、支払う予定がなかったのに支払った2ミリオンを、翌年のチームサラリーから引くことによって、この問題を解決します。

毎年各チームのチームサラリーの総額にバラツキが出るのは、このLTBEとNLTBEの補正額が影響するからです。2005年のミネソタ・ヴァイキングスは、平均から実に9ミリオンも多いチームサラリーを持っているそうです。この9ミリオンとは、おそらく2004年にWRランディ・モスに掛けられた巨額のLTBE相当のインセンティヴボーナスが、モスの怪我のために達成されなかった、ことに起因しているのだろうと思います。

一方、この「LTBEでキャップヒットしておいて、仮に達成されなかったら、翌年のチームサラリーが増える」戦略を、意図的にやっていた人物がいます。これがフィラデルフィア・イーグルスの金庫番こと、ジョー・バナーです。バナーは、LTBEのインセンティヴボーナスを多くの選手に細かく設定しました。これが達成されずに支払われなければ、翌年のチームサラリーに持ち越せます。バナーは1994年にチームに参加して以来、少しずつ少しずつこの持ち越し額を増やしてきたようで、2003年についに平均よりも4ミリオン以上も多い額を持ち越すことになりました。

「LTBEで前年キャップヒットしたけど未払いだったインセンティヴボーナスは、翌年のチームサラリーに加算される」というプランは、来年のキャップ枠を広げるために今年のキャップ枠を犠牲にするやり方です。現在よりも将来を考えています。だから、2003年のフィラデルフィアは他チームよりも多いチームサラリー総額(平均75ミリオンのところ、79ミリオン)を持っていましたが、同じ方法論を続けているとすれば、実際には2004年に向けてのLTBEのパフォーマンスボーナスがチームサラリーを浸食しているハズで、フィラデルフィアが他チームよりも多くのサラリーを選手に支払っている、ということにはなりません。

ただし、このプランの凄いところは、いつか1年だけ、勝負に出ることができます。例えば10ミリオンくらい蓄積した段階で、来年のことは考えずに10ミリオンをまるまる使ってスーパーボウルを獲るために選手を掻き集めることができるのです。このあたりが、バナーが希代の策士たる所以です。例えば、保証されていないロスターボーナスは即座に全額キャップヒットしますので、翌年のチームサラリーに響くことなく、10ミリオンを使い切る方法があるのです。

話が脱線しましたが、「不払いだったLTBEと、支払われたNLTBE」は、実質的にはデッドマネーと同じように扱っても良いことになります。よって、より正確なキャップヒットの公式は、

「BS+SB契約年数等分割額」

という基本に加えて、

「今年度のLTBE該当額+前年度のNLTBE支払額-前年度のLTBE不払額」

となります(一部例外規定あり)。
[PR]
by bufbills | 2005-06-07 01:38 | Salary Cap | Comments(0)

Incentive Bonusのポイント1=保証の有無

さて、キャップヒットを決める最後の砦が、インセンティヴボーナスに関する規定です。incentiveとはそもそも「刺激的な」という意味ですので、選手のやる気を起こさせるためのものです。インセンティヴボーナスが設定されるのは、ドラ1やドラ2の選手の場合が多く、またUFAでも高額の選手の場合も目立ちます。プライドが高くて自分に自信のある選手に対する補填の意味合いが強いように思います。

インセンティヴボーナスには数種類あり、パフォーマンスボーナスPerformance Bonus、ロスターボーナスRoster Bonus、レポーティングボーナスReporting Bonus、ワークアウトボーナスWorkout Bonusなどがあります。

で、これらの計算は、ハッキリ言って面倒くさいです。1万ドル以下の数字が設定されることも多いので、頭がウニになります。レポーティングボーナスやワークアウトボーナスなど、キャップヒットが大したことがないインセンティヴボーナスは、基本的には無視してしまって問題がないと思います。基本的には「ベースサラリー+サインボーナス分割額」で充分対応可能でしょう。

さて、インセンティヴボーナスを理解する上で頭に留めて欲しいことですが、ポイントの1つ目は、これらのインセンティヴボーナスには、「保証されている」と「保証されていない」の違いがあります。このうち、「保証されている」インセンティヴボーナスはサインボーナスと同じ扱いを受け、残りの契約年で均等に分割払いすることができます。一方で、「保証されていない」インセンティヴボーナスは、発生した場合にはベースサラリーと同じ扱いになり、発生した年のチームサラリーに全額キャップヒットします。

「保証されているかいないか」は契約時に決められます。当然のことながら、保証されているほうが選手にとっては都合が良いです。最近の傾向として、4年以上の長期契約を結んだときでも、最初の2~3年間でどれだけ貰えることが保証されているか、が交渉の焦点になることが多いようです。ベースサラリーが保証されていないNFLの世界では、バックロード式で巨額になったベースサラリーにはリアリティがないことが原因でしょう。

ということで、1人の選手のキャップヒットの公式は、インセンティヴボーナスをIBとすると、

「BS+SB契約年数等分割額+無保証IB全額+有保証IB契約年数分割額」

となります。
[PR]
by bufbills | 2005-06-07 01:37 | Salary Cap | Comments(0)

キャップヒット演習8「ペイカット」

契約のやり直しの一種なのですが、こちらはもっと単純です。ベースサラリーを、無償で減らす方法です。

【例題8】バッファローのTEジェイ・リーマスマ選手は、2000年に4年12ミリオン、サインボーナス4ミリオンの契約を結びました。契約最終年の2003年には3.5ミリオンのベースサラリーを得ることになっていましたが、トム・ドアホーGMは、「リーマスマに3.5ミリオンなんて高過ぎ。俺が結んだ契約じゃないし、2.5ミリオンのペイカットを呑まなければ解雇する」とリーマスマを脅しました。リーマスマは男気を見せてコレを拒否、綺麗に解雇されてUFA(無制限フリーエージェント)となりました。

<旧契約は>
2000年 BS0.5M SB1.0M CapHit1.5M 実際に受け取る額4.5M
2001年 BS1.5M SB1.0M CapHit2.5M 実際に受け取る額1.5M
2002年 BS2.5M SB1.0M CapHit3.5M 実際に受け取る額2.5M
2003年 BS3.5M SB1.0M CapHit4.5M 実際に受け取る額3.5M

<ペイカットの場合は>
2003年 BS1.0M SB1.0M CapHit2.0M 実際に受け取る額1.0M

ペイカットの場合、本来貰うはずだった2.5ミリオンは完全に戻ってきません。なので、選手にとっては最もツライことで、これを受け入れるケースは非常に少ないです。ただし、ヴェテランで、チームに愛着があったりすると、チームに残るためにペイカットを受け入れることがあります。

このケースの場合、結局解雇しましたので、サインボーナスを4分割した1ミリオンがデッドマネーになっています。

高給のベースサラリーがキャップヒットする選手は、いったん解雇して安く(ヴェテランミニマムなどで)再契約、ということもあります。2005年にはニック・セイバンHC率いるマイアミが、(トレードで獲得前の)サンディエゴ時代の高額契約を持つWRデヴィッド・ボストンをいったん解雇し、安く再契約している事例があります。しかし、こういう傾向があるのは、強いチームや、サンフランシスコやマイアミなど、選手からの人気がある名門チームに目立つように思います。
[PR]
by bufbills | 2005-06-06 16:46 | Salary Cap | Comments(0)

キャップヒット演習7「残額直撃の例外=6月1日ルール」

【例題7】例題6のMLBレイ・ルイス選手が、新契約を結んだ2002年シーズン終了後に、「22ミリオンも貰ったから十分だ。2003年はベースサラリーの2ミリオンしか貰えないし、スーパーボウルも制したからNFLに未練はない。罪を償うため、教会を建てて、牧師になりたい」と言い残して引退することになりました(爆) このままだと2003年のレイヴンズのチームサラリーには、

2003年 旧SB1.0M 新SB18.0M

の計19ミリオンがキャップヒットしてしまいます(爆) 当初は6ミリオンの予定だったのに、13ミリオンもオーヴァー(核爆) よって、ブライアン・ビリックHCはルイスを説得し、なんとか2003年の6月1日以降に引退して貰うことにしました。よって、レイ・ルイス選手のデッドマネーは、

2003年 旧SB1.0M 新SB3.0M CapHit4.0M
2004年 旧SB0.0M 新SB15.0M CapHit15.0M

となります。「6月1日」は魔法の日で、「6月1日」から「翌年の契約が有効or今年の契約が完結」するようです。つまり、「6月1日」より前に「解雇・引退・トレード」だと、2003年のチームサラリーに、サインボーナスの残額が「全額キャップヒット」になりますが、「6月1日」より後に「解雇・引退・トレード」だと、2003年のチームサラリーと、2004年のチームサラリーとの2度に分けて、サインボーナスの残額を「分割キャップヒット」することができます。

ときどき誤解されるのですが「今年と翌年に2分割」ではありません。ご注意ください。

また、「6月1日ルール」が適用されて意味が出てくるのは、契約が2年以上残っている選手についてです。契約最終年の選手については、6月1日の前後で解雇しても違いはありません。

契約を途中で止めると、止めた年に「残額直撃デッドマネー化」が原則ですが、「6月1日ルール」はその例外になります。

それにしても15ミリオンなんてデッドマネーは耐え難いです。しかしながら、その昔Steve YoungやTroy Aikmanがいなくなったときには相当なデッドマネーが発生した、と言われています・・・。
[PR]
by bufbills | 2005-06-03 23:54 | Salary Cap | Comments(0)

キャップヒット演習6「契約のやり直し+新契約=契約延長」

【例題6】例題3のMLBレイ・ルイス選手が、2002年に契約のやり直しをすることになりました。レイヴンズのチームサラリーが過大になってしまい、ドラフトで獲得したルーキーと契約するにはキャップ枠が足りなくなったからでした。同時に2008年まで契約を延長し、7年総額50ミリオンという巨額契約となりました。を結んだ。内訳を見ると、サインボーナスが21ミリオンで、ベースサラリーの詳細は以下の通りでした。

<旧契約の残りは>
2002年 BS6.0M SB1.0M CapHit7.0M 実際に受け取るハズだった額6.0M
2003年 BS7.0M SB1.0M CapHit8.0M 実際に受け取るハズだった額7.0M

<新契約は>
2002年 BS1.0M SB3.0M CapHit4.0M 実際に受け取る額22.0M
2003年 BS2.0M SB3.0M CapHit5.0M 実際に受け取る額2.0M
2004年 BS3.0M SB3.0M CapHit6.0M 実際に受け取る額3.0M
2005年 BS4.0M SB3.0M CapHit7.0M 実際に受け取る額4.0M
2006年 BS5.0M SB3.0M CapHit8.0M 実際に受け取る額5.0M
2007年 BS5.0M SB3.0M CapHit8.0M 実際に受け取る額5.0M
2008年 BS9.0M SB3.0M CapHit12.0M 実際に受け取る額9.0M

<新・旧契約をあわせたキャップヒットは>
2002年 旧BS0.0M 旧SB1.0M 新BS1.0M 新SB3.0M CapHit5.0M
2003年 旧BS0.0M 旧SB1.0M 新BS2.0M 新SB3.0M CapHit6.0M
2004年 旧BS0.0M 旧SB0.0M 新BS3.0M 新SB3.0M CapHit6.0M
2005年 旧BS0.0M 旧SB0.0M 新BS4.0M 新SB3.0M CapHit7.0M
2006年 旧BS0.0M 旧SB0.0M 新BS5.0M 新SB3.0M CapHit8.0M
2007年 旧BS0.0M 旧SB0.0M 新BS5.0M 新SB3.0M CapHit8.0M
2008年 旧BS0.0M 旧SB0.0M 新BS9.0M 新SB3.0M CapHit12.0M

レイ・ルイス選手は、「ルーキーと契約するため、チームリーダーをしてやるべきことをやっただけだ。キャップヒットを2ミリオン減らせてハッピーだよ」と語ったらしいです(ウソです)。
[PR]
by bufbills | 2005-06-03 23:52 | Salary Cap | Comments(0)

キャップヒット演習5「契約のやり直しrestructure」

チームもしくは選手側の事情により、契約の途中で契約のやり直しをすることがあります。チームのサラリーキャップ枠、すなわちチームサラリー上では、旧契約のベースサラリーが消滅する一方で、旧契約のサインボーナスは有効であり、新契約を結んだ年から新契約のベースサラリーとサインボーナスが有効になります。つまり、

「旧ボーナス+新ベースサラリー+新ボーナス」

がキャップヒットします。また、契約のやり直しの場合は、契約年数と総額が変わらない代わりに、ベースサラリーをサインボーナスに転換するやり方が主流です。

【例題5】例題4のDEシメオン・ライス選手が、2003年に契約のやり直しをすることになりました。2002年にスーパーボウルに優勝し、2003年もチームに残ることになったからであります。2003年のキャップヒット8.2ミリオンが大き過ぎるので、チームとしては少しでもライスのキャップヒットを減らし、FAとなるMLBシェルトン・クオールズとも再契約をすることが狙いでした。そこで、2003年のベースサラリー8ミリオンのうち、6ミリオンをサインボーナスに変換することになりました。

<旧契約の残りは>
2003年 BS8.0M SB0.2M CapHit8.2M 実際に受け取るハズだった額8.0M
2004年 BS9.5M SB0.2M CapHit9.7M 実際に受け取るハズだった額9.5M
2005年 BS9.5M SB0.2M CapHit9.7M 実際に受け取るハズだった額9.5M

<新契約は>
2003年 BS2.0M SB2.0M CapHit4.0M 実際に受け取る額8.0M
2004年 BS9.5M SB2.0M CapHit11.5M 実際に受け取る額9.5M
2005年 BS9.5M SB2.0M CapHit11.5M 実際に受け取る額9.5M

<新・旧契約をあわせたキャップヒットは>
2003年 旧BS0.0M 旧SB0.2M 新BS2.0M 新SB2.0M CapHit4.2M
2004年 旧BS0.0M 旧SB0.2M 新BS9.5M 新SB2.0M CapHit11.7M
2005年 旧BS0.0M 旧SB0.2M 新BS9.5M 新SB2.0M CapHit11.7M

ジョン・グルーデンHCは、「我々が勝てたのはトニー・ダンジー仕込みのグレイトなディフェンスがあったからで、バッカニアーズにはライスもクオールズも必要だ」(全くその通りですな)とメディアに語り、オウナーのグレイザー兄弟(兄弟だったんですか?)は、「8.2ミリオンのライスのキャップヒット予定が、4.2ミリオンになったので、4ミリオンの浮き。これでクオールズとも余裕で契約できるだろう」と語り合ったそうです。

「ベースサラリーをサインボーナスに変換」という方法は、選手から見ると実際に受け取る金額は、旧契約でも新契約でも変わらないので、まあまあ納得が行きます。しかしながら、この方法はリストラクチャーした年だけで見ると都合がよいのですが、翌年以降はリストラクチャーする前よりも重いキャップヒットが待ち受けることになります(9.7ミリオン→11.7ミリオン)。ということで、実際にはリストラクチャーを受け入れたヴェテラン選手は、翌年以降解雇されるケースが目立っています。また、「2年連続でリストラクチャーを受け入れて、3年目で解雇」というチームの都合に振り回される選手も少なからずいます。
[PR]
by bufbills | 2005-06-03 02:12 | Salary Cap | Comments(0)

キャップヒット演習4「極端なバックロード式」

【例題4】タンパベイのDEシメオン・ライス選手が、2001年に5年総額30ミリオンの契約を結びました。内訳を見ると、サインボーナスはわずか1ミリオンで、ベースサラリーの詳細は以下の通りでした。

2001年 BS0.5M SB0.2M CapHit0.7M 実際に受け取る額1.5M
2002年 BS1.5M SB0.2M CapHit1.7M 実際に受け取る額1.5M
2003年 BS8.0M SB0.2M CapHit8.2M 実際に受け取る額8.0M
2004年 BS9.5M SB0.2M CapHit9.7M 実際に受け取る額9.5M
2005年 BS9.5M SB0.2M CapHit9.7M 実際に受け取る額9.5M

シメオン・ライス選手は「馬鹿げた損な契約であることは分かってるよ。いいんだ、とりあえず今年か来年にスーパーボウル・リングを取って他チームに移籍する。チームが僕を必要だと思えば、たぶん2003年に契約のやり直しをすれば良いんだし」とメディアに語ったとか。ライヴァルチームであるグリーンベイのSSリーロイ・バトラー選手は、「あんな極端な契約は、リーグの規約違反じゃないのか」とNFLのポールこと、コミッショナーのタグリアブー氏に公開質問状を送ったものの、受け付けて貰えなかったとか。

先日もタンパベイはこの手の契約でLBイアン・ゴールドを解雇しております。ということで、最初の1~2年目のベースサラリーを極端に抑えておいて、2~3年後に極端に跳ね上がる契約を「タンパ式」と呼ぼうかと思っております(爆)

虚実が入り交じっておりますがご容赦ください・・・。
[PR]
by bufbills | 2005-06-03 02:11 | Salary Cap | Comments(0)

キャップヒット演習3「バックロード式ベースサラリー」

【例題3】ボルチモアのLBレイ・ルイス選手が、1999年に5年総額30ミリオンの契約を結びました。内訳を見ると、サインボーナスが5ミリオンで、ベースサラリーの詳細は以下の通りでした。契約年が進むに連れて、ベースサラリーが上がる仕組みです。

1999年 BS3.0M SB1.0M CapHit4.0M 実際に受け取る額8.0M
2000年 BS4.0M SB1.0M CapHit5.0M 実際に受け取る額4.0M
2001年 BS5.0M SB1.0M CapHit6.0M 実際に受け取る額5.0M
2002年 BS6.0M SB1.0M CapHit7.0M 実際に受け取る額6.0M
2003年 BS7.0M SB1.0M CapHit8.0M 実際に受け取る額7.0M

レイ・ルイス選手は「金額的には妥当な契約かな。もうちょっとサインボーナスが欲しかったけど。だんだんベースサラリーが上がっていくのは、モチヴェーションを高く保つためにも仕方がないね。2002年か2003年に契約のやり直しをすることになるかも」とメディアに語ったとか。

ところで話は変わりますが、バックロード式だとキャップヒットが大きくなる後半に解雇やリストラクチャーの可能性が高まってしまいます。そこで、ベースサラリーを各年で単純に等割するやり方があります。この場合、キャップヒットは毎年同じ金額なので、契約年数キッカリの雇用が想定されやすくなります。個人的には、こういうベースサラリーの単純平均化する方法を、「アリゾナ式」と呼ぶことにしています。
[PR]
by bufbills | 2005-06-01 21:29 | Salary Cap | Comments(0)