ラグビーは未だに大英帝国植民地支配下のマイナースポーツである

ワラビーズとスコッチの誤審騒動が話題ですが、ラグビー協会がこれを認めた、というのはアンマリな話です。ジュベールが可哀想。




問題のプレイは私もテレビで観てましたが、肉眼ではオージーの選手に当たっているようには見えなかったです。解説の村上さんも「あー、前にいる選手が触っちゃいましたね。ノッコンオフサイド」って言ってましたし。そりゃ、後からリプレイで厳密に検証すれば「そうではなかった」ってことになるでしょうけど、そんな疑惑のジャッジは今までも今大会もいくらでもありました。

TMOはトライに関わるプレイしか検証できません(他にラフプレイとか)。なので、ビデオリプレイはなしです。「TMOにしなかった」とジュベールを責める人がいるようですが、これはTMOルールの問題であってジュベールのせいではありません。

結局、ルールもTMOも審判も運用する側の誠意の問題です。ジュベールは誠意を持ってこの試合を裁いていましたし、これまでもそうでしたし、大舞台で最も信用できる審判です。

「ラグビーのジャッジにこの程度のミスはつきものであり、これもラグビーというスポーツの一部だ。すべてのプレイをリプレイ対象にするのは現実的には不可能だ。ただし、これからは最後の10分間における勝敗を左右する微妙なプレイに関しては、TMOの対象にすることを検討する」

とでも発表すべきだったのです。なのに、イングランドを筆頭とするラグビー協会は、名指しでジュベールを晒しモノにしました。誠意のカケラもありません。

コトの本質は、イングランド、スコットランド、ウェールズ、アイルランド、これに加えてフランス、のすべてが準決勝に残れなかったからでしょう。もともと、胴元であるイングランドが予選敗退したのが大コケの始まりで、直前でsix nation覇者のアイルランドがアルヘンチーナに取りこぼした(実力的に負けていたと思いますが)のが、北半球迷走に拍車を掛けました。フランスはブラックスにblow outされていましたし、six nationの価値が下がるのが余程イヤだったのでしょうか、チケットの値段が下がるのが耐えきれなかったのか。

今回の騒動によって、「ラグビーは大英帝国植民地支配下のマイナースポーツである」という認識を改めて強く思い直しました。そもそも、「国籍主義」じゃなくて「協会主義」というのがイマドキ理由の分からないハナシです。

「だって、南アもオージーもニュージーランドも、全部大英帝国の植民地なんだよ。言ってしまえば、みんな(国籍は)イギリス人なんだ。だから、どのチームでプレイしてもいいじゃないか。生まれた地域で代表になれなくても、出稼ぎ先で代表になれるんなら、それでいいじゃん。・・・英語喋れないとダメなのは、アタリマエだよね?」

というのが協会主義のホンネです(感覚的には、日本代表も大英帝国植民地代表、ということになりますね)。生まれた国の他に、両親のどちらかの出身国(地域)だとか、その国(地域)で3年プレイしたりすると、その国(地域)の協会代表になれるというルールは、「誰もが偉大なるブリタニアンだから」問題がないのです。

イングランド
ウェールズ、スコットランド、アイルランド
フランス
南ア、オーストラリア、ニュージーランド

俗に「ティア1」と呼ばれる国々の、こんなカンジの順番で、都合が決まってきます。私もこれまでは「良くも悪くも協会主義はラグビーの文化」と許容して来ましたが、ここまで来ると流石に腹立たしいです。協会主義を続ける限り、オリンピックとは縁がなさそうですし(7人制はやるらしいですが)、分かりにくさが付きまといます(今回のW杯で日本代表は素晴らしい結果を残しましたが、仮に国籍主義でも結果が出せるように、精進して欲しいですね)。

サモアとスコットランドのプールB最終戦。サモアは意味不明なTMOでトライを取り消されてPG止まりにされ、アドバンテージ中に突然ひっくり返されて逆にぺナルティを獲られ、最後はレイドローのノックオンからのトライも見逃されました。レイドローのトライは少なくともTMOに掛けるべきプレイでしたが、TMOにすらなりませんでした。なのに、ラグビー協会はこの話題をスルーし、マスコミも騒ぎませんでした。サモアは実に勇敢にフェアに戦いましたが、「あいつらはアイランダー」、サモアなんてどうでもイイのです。

協会主義は大英帝国のためのローカルな制度です。このままではイングランドを中心とする本国の都合で振り回され、真のグローバル化には至らず、一過性のミーハーな熱狂はあったとしても、結局はマイナースポーツとして終わるでしょう。

そういう虚しさを感じた今回の騒動でした。

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Wallabies won off incorrect penalty
もちろん、ダラーリオみたいに審判を擁護する常識人もいます。が、少数派なんでしょうね。

Michael Cheika attacks World Rugby over criticism of Craig Joubert
「ギャヴィン・ヘイスティングスvsデイヴィッド・キャンピージ」というオールドファン垂涎の対決が、今回の論争で実現してしまいそうです。魂のカタマリのようなギャヴィンは、現役時代最も好きな選手の一人でしたが(ブランコを押しのけてFBに選びます)、我田引水な発言はかなり残念。チェイカは「ジュベールだけ名指しで批判されるのはあまりにも不公平」と言っています。
ジュベール主審の誤審批判に擁護の声、「なぜ彼だけ?」
こちらの記事では、「あの判断を公にした理由が分からない。われわれはゲームの中で正しい規律を保っている。でも、この一件で他のチームが再検討リストを作り始めているのでは? サモアは、スコットランドがウイニングトライを挙げる前のノックオンに疑問を抱えているかもしれない」とも言ったようです。
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by bufbills | 2015-10-20 23:42 | Privates | Comments(2)
Commented by Liger at 2015-10-24 19:21 x
こんにちは。びるずだいなすてぃサンのところでお名前等拝見し、此方に辿り着きました。DETファンのLigerと申します。以前に続けておられたブログも当時拝見しており、確か別のHNでコメントした様な記憶もあるので、はじめましてと云うよりも、お帰りなさいと云うべきかもしれません。兎も角、以後お見知りおきを賜りましてどうぞ宜しくお願い申し上げます。
ラグビーに関しても、にわかファンで(グラウンドで行われる競技自体については多少の知識はあるものの)W杯やテストマッチ等の国際試合の実態や仕組みに関しては???なことばかりで、協会主義(地域主義)と云うのは一見グローバルで民主的かつ先進性のあるシステムの様にも思えますが、何か違和感を感じておりましたのですが、ナルホドと思わされる記事で、大変勉強になりました。彼らの言う世界は大英帝国とイコールで、現在我々が「国」として認識しているものは、彼等の国の成立ち上も「大英帝国内の一地域」に過ぎない訳ですね。
Commented by bufbills at 2015-10-24 21:59
Ligerさんいらっしゃいませ。そうですか、記憶が定かでなくて申し訳ありませんが、以前にもコメント頂きましてありがとうございます。こちらこそ、よろしくお願いいたします。

当方、ラグビーに関しては、まだ子供でしたが新日鉄釜石の七連覇の途中からの記憶があるので、ファンとしてのキャリアはNFL以上になります。1987年にW杯が開催され、1995年に南アが参戦しプロ化が進み、ルール変更もかなりの変遷がありましたが、Great Britain主義は変わっていないと思います。一例を挙げますと、最近は弱くなって名前を見なくなりましたが、中国に返還される前の香港にも協会があるので、アジア予選にラグビー代表を出していました。で、そういうチームは白人がホトンドで、一部現地出身のプレイヤーが混ざる、というような状況だったりします。プレイヤーにとっては様々な場所で代表になれるチャンスがあるので都合が良く、歴史があるので変えにくいことなのでしょうが、これは変えていかないと時流に反していると思います。だから、本質的にはW杯ではなくて、大英帝国杯なのだと思います。

とりあえず、今晩はスプリングボグスを応援します。伝統的にNZオールブラックスは自由にやらせたら無敵ですがプレッシャーに弱く、接戦になったときの耐性では南アのほうが上です。オールブラックスが負けるパターンはFWの密集近くの接点で負けるときなので、南アのFWの踏ん張りに期待したいですね。
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