Signing Bonus=諸刃の剣

ボーナスにはイロイロありますが、基本となるのが「サインボーナスSigning Bonus」です。サインボーナスは契約締結時にご祝儀として「全額」支払われます。選手にとっては必ず貰えるオカネなので、多ければ多いほどありがたいモノ。よって、契約を結ぶときには、「サインボーナスの額をいくらにするか」が焦点になることが多いです。

サインボーナスで重要なポイントは、ベースサラリーが「全額キャップヒット」するのに対して、サインボーナスは契約年数で均等に割った額がキャップヒットします。分割払いのイメージですね。つまり、6年契約を結んでサインボーナスが6ミリオンなら、毎年1ミリオンがキャップヒットします。

「保証されていない」ベースサラリーと違って、サインボーナスのような「保証されている」ボーナスは、分割払いをすることができます。分割払いをする際、「オカネを平たく引き延ばす」と言う意味でspreadという動詞を使います。選手の給料には、spread可能なボーナスと、spreadできないベースサラリーの2種類があることを抑えればだいたいOKです。

ところで、ベースサラリーと比べると、分割払いのサインボーナスは毎年のキャップヒットが少ないので、なんとなく便利で都合のいい雰囲気が漂います(爆) ベースサラリーが10ミリオンだと、10ミリオン全額がそのままキャップヒットしてしまいますが、サインボーナスが10ミリオンだと、5年契約にしておけば毎年2ミリオンで済みます。これはラッキー。サラリーキャップ施行当初は、これ幸いとばかりに、サインボーナスを乱発するチームが続出しました。

サインボーナスが怖いのは、選手が途中でいなくなった場合です。例えば途中で選手を解雇した場合、分割払いの残額が解雇した年のチームサラリーに直撃します。サインボーナス10ミリオンで5年契約を結んだ選手を、契約2年目に解雇すると、2年目に残り8ミリオンがキャップヒットします。当初2ミリオンの予定が、6ミリオンもオーヴァー。過剰になった6ミリオンぶんは、他の選手と契約することはできません。逆に、この6ミリオンのせいでチームサラリー(2003年なら75ミリオン)を超えてしまう場合には、さらに他の選手をクビにしなければなりません。悪循環の始まりです。

このような、いなくなってしまった選手のキャップヒット額のことを「デッドマネーDead Money」と呼びますが、90年代後半大量のデッドマネーに苦しめられるチームが続出しました。Buffaloの場合、2000年から2002年に掛けて、Doug Flutie、Rob Johnson、John Finaなどの「負の遺産」に苦しめられています。「高額のヴェテランを解雇すると、Dead Moneyが発生する」と覚えておいて問題ないでしょう。

「選手が途中でいなくなれば、残額すべて即座にキャップヒット」が原則ですので、引退・トレードのときも同様です。Buffaloは2002年にDrew Bledsoeをトレードで獲得しましたので、Drew Bledsoeのサインボーナス残額すべては、2002年のNew Englandのチームサラリーにキャップヒットしました。

ということで、サインボーナスは最終的に必ずチームサラリーに跳ね返ってきます。だからこそ、サインボーナスを払う際には、充分な注意が必要になります。有能なGMはここのところをわきまえており、主要選手以外のサインボーナスを抑える傾向があるようです。
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by bufbills | 2005-05-28 00:32 | Salary Cap | Comments(1)
Commented by bufbills at 2005-07-05 19:06
これまでは最大7年のspreadが可能でしたが、2006年が現行CBAの最終年ということで、最大3年のspreadまでに変更されたとか。

つまり、今年の場合、現行CBAが有効な2005-2006に、2007-2009を加えた最大5年ということのようです。
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